2005/8/15(月) 曇り/雨 |
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今日から夏休み〜!(^O^)/ な〜んて、さも前々から楽しみにしていたように大きな声を上げてみたが、ホントはつい最近まで何の予定も入っていなかった。毎年毎年「どうせ何とかなる」と云ういい加減さで結構上手く乗り越えて来たが、結局今年も8月に入ってから宿探しに入った(^_^;) そもそも我が家は(?俺は?)何でも行き当たりばったり。入念な計画を立てるのは、地形図と真剣ににらめっこする下見の時くらいだ(^^ゞ。 |
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「キャンプは野宿だ」と云う信念?の俺は、完全に世のアウトドアブームから取り残されている。ツーバーナーもタープもランタンも、もちろんダッチオーブンなんてのも持っていない。なにかと応用の利く年季の入った安物のバーベキューコンロひとつに燃料を積んで、昔ながらの飯ごうでメシを炊いて、「サッポロ一番塩ラーメン」をすすればそれで十分。魚肉ソーセージの1本でもあれば贅沢の極み!肉なんて家で食ゃ〜いい、の精神に付き合わされる家族こそいい迷惑だろうが、上手くしたもので不満の声を聞いたことがない。 まぁ、それしか知らないのだと云えばそれまでだが。。。(^_^;) | |||
そんな俺のお気に入りは、地方の市町村が経営する公営キャンプ場だ。名前も知らないような(失礼 m(__)m )町が意外にも立派な施設をほどよいロケーションに備え、5〜6人用のバンガローが一泊一棟5千円以下で利用できるなんてことがままある。しかも宣伝があまり上手でないためか直前の予約でもOKだったりする、正に俺のような男にとってうってつけの強い味方だぁ! | |||
、と云うことで、今回白羽の矢を立てたのは福島県内の日山キャンプ場。裏磐梯からのんびり走って1時間半と少々不便な場所ではあるが、8人用の綺麗なバンガローが3500円と破格なだけでなく、布団・毛布からナベ・釜、包丁に至るまでが廉価で借りられる。ずぼらな俺はテントを干したり撤収したりが億劫でしかたない。これは快適快適!(^^)v | |||
、と、いつにも増して前置きが長くなったが、それでは本題に。。。 | |||
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早朝、曇天の下で家を出る。 五色沼周辺の散策などいくつかのパターンを考えていたのだが、生憎の空模様なので雨天でも楽しめそうな猪苗代「緑の村」に向かうことにした。ここには2haの畑一面にひまわり畑が広がっている。できれば青空の下で記念撮影をしたかったのだが残念。8月後半にはソバの白い花、秋には薄紅のコスモス、そして春には黄色の菜の花畑がそれぞれ広大な面積に咲き誇るらしい。。。 雨の中、小さな淡水魚館やマス釣りに興じる子供たち。どちらも規模の大きなものではないが、パパとの旅行と云えばいつも「野山を歩くだけ」の、レジャーに飢えた?子供らは十分満喫していたようだ(^_^;) 一応、念のため云っておくが、うちの子はけっして不憫ではない(^^ゞ? |
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さんざん遊びまくり、上述のキャンプ場に到着したのはもう真っ暗になってからだ。バンガローを予約していたため雨の中テントを設営するでもなく、炊事も面倒になったのでインスタントラーメンだけですますなど、手抜きもいいとこ。まぁ、子育てなんて、これくらいチャランポランが丁度いい。。。はずだ(^_^;) | |||
オヤスミ〜 そうそう、写真には残していないが、管理棟の前で大歯の立派なノコを見つけた。キャンプ場へ向かう途中にも、ミヤマのいそうな場所がいくつもある。さすがに家族を連れた雨の旅先で、樹液ポイントを見つけるのは諦めたが。。。(^_^;) |
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2005/8/16(火) 曇り/晴れ |
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一夜明けて、翌日も今一歩スッキリしない空模様。でも、どうやら天候も回復しそうだ。今日は思いっきり『散策を』楽しむぞ〜(^o^)/ | |||
高速道入り口付近のコンピニの、なかなか魅力的な看板。かなり気合が入っている(^^ゞ。買出しのフリをして立ち寄ると、大き目のミヤマ♂が1780円、小さいので500円、♀は300円と結構な値札が下がっていた。コクワ♂300円、カブトペア300円。。。サイズもまちまちで、どう見てもそこらで拾ったもののようだが、旅先で子供にせがまれ財布の紐を緩める親たちも多いのだろう。 長生きしてくれるといいのだが、、、でも相手はミヤマだし。。。(^_^;) | |||
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五色沼を抜け、スキー場で有名なホテルグランデコへ向かう。道は軽快そのもの。ところがゴンドラに乗り込もうとすると「先程の地震で現在休止中」との説明。 『地震!?』 そう、どうやら山道を走っている途中で宮城県沖を震源とする震度5弱の揺れがあったらしい。いくら山道とは云え全く気付かなかったとは。。。(^_^;) それにしても先日(7/23)の千葉といい、今年は行く先々で地震に遭っている。少し気を引き締めて防災準備をする必要があるのかもしれない。 幸いゴンドラの運行もすぐに再開し、予定通り標高1400mの山頂に向けて出発〜! |
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ゴンドラを降りると、霧にけぶるひんやりとした空気の中にポツリポツリとノリウツギの花が咲いているのが見える。「ウツギ」の名の付く植物は多く、これらは幹が中空(ストローのようになっている)ために「空木(うつろぎ)」 と呼ばれたことが由来らしい。この「ノリウツギ」や「ウツギ」はアジサイに近い『ユキノシタ科』だが、「タニウツギ」「ハコネウツギ」などはスイカズラの仲間と、近縁でないのに似た名前が付いていて紛らわしい。 | |||
ただし!昆虫好きであれば、比較的冷涼な山地で盛夏に見かける、この白いアジサイのような「ノリウツギ」はけっして忘れないようにしよう。花の香りに誘われて、カミキリやコガネムシの仲間が沢山集まっているはずだ。 | |||
これはゴルフ場の芝生の上などでもごく普通に見かけるセマダラコガネだが、花にも集まるようだ。成虫は葉を、幼虫は植物の根を食するため、害虫として駆除の対象となっている。 | 一見するとカミキリムシの仲間のように見えるが、むしろホタルなどに近いアオカミキリモドキ。安易に触れると、体液で炎症(水ぶくれ)を起こす有毒昆虫だ。 | ||
こちらは正真正銘のハナカミキリの仲間。ルリハナカミキリ? と、見かける時はいつでも交尾しているアカハナカミキリ。 カブクワも同じだが、餌場は交尾相手と出会う大切な社交場になっているのだろう。 | |||
さらに、足元に咲くキクの仲間「ヤマハハコ」にも、ハチ・アブをはじめとした色々な昆虫たちが集まっている。 このヤマハハコは初めて見たが、茎や葉が柔らかな白い綿毛で覆われた様子は、春の里山で良く見かける「ハハコグサ」に似た、優しげでとても美しい花だった。 |
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しかし何と云っても今日の主役は薄桃色に高原を染めている、この「ヨツバヒヨドリ」だろう。高山に咲くフジバカマの仲間だ。注意深く眺めると、実にさまざまな昆虫たちが集まっている。 | |||
ハナアブ(未同定。おそらく「ナミハナアブ」)もたくさん集まってきていた。正面から見ると、まるで戦闘機のようだ。 | |||
ちょっと変わりダネとしては、こんなオトシブミも。おそらく、ウスアカオトシブミで良いと思う。(^_^;) | |||
白く美しいチョウのように見えるが、シャクガ(蛾)の仲間、ウスキツバメエダシャク。名前の通り、幼虫はシャクトリムシの一種だ。 | ヒメキマダラヒカゲ。下草にササの多い夏緑樹林帯(ブナなどの落葉広葉樹林)に生息する、高地性のジャノメチョウの仲間だ。 | ||
今日はこれが見たかった。旅をすることで有名なアサギマダラ。大振りな美しい蝶がゆったりと何頭も群れ飛んでいた。中には右の写真のように調査目的のためにマーキングされているものも。渡り鳥と同じように、春から夏にかけて日本列島を北上し、秋には南下、時に1000Km以上も離れた南西諸島で再捕獲されることもあると云う。 |
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ヒヨドリバナの持つピロリジディンアルカロイドと云う物質が、アサギマダラのオスの性フェロモン生成に必要なため、このようにヒヨドリバナに好んで吸蜜するらしい。 また、アサギマダラをはじめとするマダラチョウ科の蝶たちは、幼虫が食べる食草に含まれる毒素(アルカロイド)を成虫になっても体に蓄えいるために天敵に襲われることが少ない。このため、蝶の中にはマダラチョウの姿を擬態するものが多いとのことだ。優雅で美しいだけでなく、生態的にもとても興味深い蝶だ。 |
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時折日差しがのぞく程度だった天候が次第に回復してきた。明るさを増す遊歩道では、ほんの少し目を凝らすだけで色々な生き物たちを発見することができる。 | |||
高地性のタテハの仲間、エルタテハ。翅の裏にアルファベットの『 L 』字型の白い模様がある。同様に『 C 』の模様があるものが、シータテハ。意外と安易なネーミング(^^;) | こちらは交尾中のトゲカメムシと云うことにした。正直、カメムシは種類が多すぎて同定不能。。。それにしても、もう少しお互いを愛しむような交尾でもいいんじゃない?(^^ゞ | ||
これは、意外にどこでも見ることが出来ると最近気付いたヤマトシリアゲ(♀)。尖った口吻で死骸から体液を吸うと聞いていたが、自分よりずっと大きなバッタをこんな風にミイラ状にするとは。。。彼女の腹の艶やかな膨らみが、何やら不気味に思えてくる(^_^;) | |||
アキアカネなどの赤トンボがこのように逆立ちをするのは、直射日光による体温の上昇を避けるための行動だと云う。高原で避暑を楽しんだ後、秋に低地の水田などに戻るのだろう。 | ブナの葉を器用に巻いた揺籃。今回初めて知ったのだが、この巻き方によって、写真のような曲裁型の他に挟裁型、無裁型などに分かれるらしい。どんな世界も奥が深いものだ。。。 | ||
ブナの幼木。落葉広葉樹の多くが芽生えに多くの光が必要な陽樹であるのに反し、東日本を代表するブナは暗い林床に耐える陰樹だ。このためブナは植生遷移の最終段階である極相林(原生林)を構成する樹種となる。 | 雪深いことを物語る、極端に捻じ曲がったブナの樹。この樹は360度回っている。ここにはこういった奇妙な形状の樹々の他にも、ツキノワグマの爪痕の残る樹などもあった。 | ||
秋にひときわ美しく紅葉するナナカマド。冷涼なブナ林帯を彩る代表的な樹種だ。材が硬く、7度かまどにくべても燃え残ることからその名が付いたと云う由来は、一度は耳にしたことがあるだろう。 | こういった形状の釣り下がった果実をつけるのは、ニシキギの仲間に多い。雑木林周辺ではツリバナ・マユミなどを良く見かけるが、この尖った4つの翼(よく)を持つ実を付けるのは標高の高い場所に生えるヒロハツリバナ。 | ||
遊歩道沿いでしばしば見かけたのが、この独特の形をした集合果。まるで「握りこぶし」のような形状。。。そう、千昌夫の「北国の春」で「♪コブシ咲く〜あの丘、北国の〜♪」 と唄われるあの「コブシ」だ。有名な樹だが、こんなところに名前の由来があることは案外知られていないのではないだろうか? | |||
アオモリトドマツ、オオシラビソなど普段見かけることの無い北方針葉樹がまばらに生える湿原に到着。 | |||
写真では判り難いが、緑のミズゴケがところどころ赤く色付いている。正体は食虫植物として名高い「モウセンゴケ」だ。密生すると緋毛氈を敷いたように一面が緋色に染まることから付けられた名前だ。 | |||
葉に赤い腺毛があり、この先端の丸い部分から消化酵素を含んだ粘液を出す。生息地である『湿地』に不足する、窒素やリン酸・カリなどのを、昆虫を捕獲することで手に入れているのだろう。 | |||
気が付けば抜けるような青空が広がり、爽やかな高原の風が吹きぬけていた。明るい日差しに周囲の景色も見違えるよう。やっぱり夏休みは「青い空・白い雲」に限る(^o^) こんな風に目的を定めずに自然の中でのんびりと過ごす時間を、いつまでも家族と持ち続けたいものだ。 |
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