よく「地形図で探せ」っていうけど。。。?

カブトムシやクワガタの採集場所を見つけるのに「地形図で探す」って書いてあるけれど、地形図って一体どのようなもので、どう見れば良いのか。。。

登山やオリエンテーリングなどを趣味にする人を除けば、日常生活で「地形図」を目にする機会はほとんどないでしょう。ここでは採集場所探しの際に一番利用頻度が高いと思われる「2万5千分の1の地形図」について、「どんなものなのか」「何がわかるのか」「どう読み解くのか」など、ごくごく基本的なことをお話しします。

はじめは難解だと思われるかも知れませんが、ほんのちょっとしたコツさえつかめば地形図を眺めているだけでその場所の地形をイメージできるようになります。

子供といっしょに地形図を広げ、「なるべく平坦で、畑に隣接した広葉樹マーク」などとテーマを決めて候補地を探し出してみましょう。
翌日、実際に出かけて確かめるのはちょっとした探検気分で楽しいものですよ。
なお、説明内に掲載している地図は、このコンテンツを作成するにあたって地形図上でランダムに探したものです。具体的な採集場所を示すものではありませんので、その点ご注意ください。
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(1)道路地図との違いを感じよう。

まずは、見慣れたロードマップと地形図の違いを見てみましょう。下の写真は縮尺率1万分の1の市街地地図です。この地図の上にカーソルを置くとほぼ同じ地域の地形図が表示されるようになっています。そのままクリックするとオリジナルサイズの地形図が別ウィンドウで現れますので、細かいことは気にせずに、地形図がどんなものかだけでも感じてみて下さい。


写真の地図は東京地図出版株式会社「ワイドミリオン千葉10,000市街道路地図帖」より
オンマウスで表示の地形図は「国土地理院発行2万5千分の1地形図(千葉東部・蘇我)

どうですか?おそらく、「地形図って複雑でメリハリがなく、非常にわかりにくい」と感じたのではないでしょうか?
でも、「道路地図ですら上手く読めないのに、こんなの見る気もしない!」などと初めから拒絶したりしないで、ほんの少しだけお付き合いしてくれませんか?
この章を読み終わる頃には、国土地理院の地形図検索のサイトが「お気に入り」に登録されているかも知れませんよ(笑)
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(2)地形図からわかること

確かに地形図はほとんど色分けもされていないし、コンビニもファミレスも出ていない。カーナビに慣れた世代にとっては何やら古臭くて時代遅れの地図だと感じるかも知れません。
でも、綺麗で見易くわかりやすい地図からではけして読み取ることの出来ない、とても貴重な情報が地形図には詰まっています。

それが、
●土地がどのように利用されているか?
●その場所がどんな起伏をしているか?(高低差)
のふたつです。

このうち土地の利用については、地図記号を覚えることで比較的単純に理解が出来るでしょう。国土地理院の該当ページをご参照ください。
(地図についての色々な話題はこちら

kigou01.gif (85 バイト) kigou02.gif (239 バイト) kigou03.gif (284 バイト) kigou04.gif (277 バイト) kigou05.gif (161 バイト)
果樹園 桑畑 茶畑
kigou06.gif (269 バイト) kigou07.gif (295 バイト) kigou08.gif (416 バイト) kigou09.gif (300 バイト) kigou10.gif (128 バイト)
樹木畑 広葉樹林 針葉樹林 竹林 荒地
それではもうひとつの貴重な情報である土地の起伏(高低差)は、地形図上でどのように表現されているのでしょうか?
以下に土地の起伏の読み取り方の基本を述べたいと思います。
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(3)等高線について〜その1〜

地形図上には、等高線と呼ばれる曲線が描かれています。等高線は地図上で、同じ標高の場所を曲線で結んだものです。例えば下の模式図で、一番外側の大きな楕円は標高10mの地点、その内側の楕円は標高20m・・・一番内側の楕円は50mの地点を示しています。

sagasou02.files/tikeizu01.gif (7388 バイト)
上の図で、山頂から左側では等高線同士の幅が広く、右側では等高線の幅が極端に狭くなっています。
等高線の幅が狭いということは、横にほんの少し移動しただけでその場所の高さが大きく変わるということですから、すなわち非常に急な斜面だと云うことになります。逆に等高線の幅が広い場所は傾斜が緩やかだと云うことがわかるでしょう。
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(4)等高線について〜その2〜

それではもう少しだけ複雑な模式図(地形図)を用いて説明を続けましょう。

sagasou02.files/tikeizu02.gif (7388 バイト)
何か急に難しくなったように感じられるかも知れませんが、基本は同じで、模式図に引かれた直線が等高線と交わる場所を水色の点で示してあります。一番左の水色の点から3つずつをひとまとめに考えてみましょう。初めの点の標高は10m。以降20m、30mと上って行きます。点同士の間隔が比較的広いことから傾斜がそれほど急ではないことがわかります。次の(左から4つめの)点は標高30mで、以降は20m、10mと今度は下りになります。しかも点同士の間隔がかなり狭いことから、急な下り斜面だということがわかるでしょう。
同様に、次の3つ(左から7〜9個目の)は急な上り坂、最後のの3つ(左から10〜12個目)は比較的緩やかな下り斜面だということがわかります。
すなわちこの模式図では、両側(東西)を急な斜面で囲まれた『谷』の地形を表していることが読み取れるわけです。
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(5)等高線について〜その3〜

今度は上の模式図を横にして同じことを考えてみます。

sagasou02.files/tikeizu03.gif (7388 バイト)
模式図右側の、等高線が内側に食い込んでいるように見える部分が先程の『谷』です。この『谷』を入り口から奥に向かって、すなわち模式図に引かれた直線に沿って一番右側から左側に進んで見ましょう。
かなり長い距離を進んでも等高線はありません。すなわちほとんど傾斜のない平坦な道を歩くことになります。しかし、最初の(一番右側の)水色の点から先は突然急な上り斜面になり、40mもの高低差のある頂を越えると、今度は急な下り斜面になっていることがわかるでしょうか。。。
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(6)総合的なイメージ

等高線について、簡単な読み取り方法はお分かりいただけたでしょうか?それでは、仕上げに「土地の起伏(=等高線の様子)」と、「土地の利用のされ方(地図記号)」を合わせて、地形図からその場所をイメージする練習をして見ましょう。

sagasou02.files/tikeizu03.gif (7388 バイト)
(4)で用いた地形図に地図記号を加えてみました。(なお、上図では、上が「北」、下が「南」、左が「西」で右を「東」になります。)
それでは谷の最南端、すなわち画面の一番下からまっすぐ北上した時の風景をイメージしてみましょう。
谷の入り口で目の前に広がるのは青々とした「水田」です。谷の幅も広く、傾斜はほとんどありません。水田の真ん中を谷の奥に向かって進んで行くと次第に左右の山が迫ってきて、谷は徐々に狭くなってきます。
更に進んで、谷の最奥部まで到達すると、目の前には「広葉樹」に覆われた急な上り斜面が立ちふさがります。左右も同様に「広葉樹」の急斜面が迫っています。もしここで、意を決して目の前に立ちはだかる急斜面を登ったとしても、50m近い急な斜面の向こう側、北向きの下り斜面には植林された針葉樹林が並んでいることでしょう。
選ぶなら、迷わず東側の斜面を登るべきです。左側(=西側)の斜面を登りきったとしてもその向こう側の下り斜面はやはり「針葉樹」で覆われていることでしょうから。右側(=東側)の斜面の向こうには、「広葉樹」で覆われた日当たりの良い南東向きの下り斜面が広がっているはずです。この緩やかな斜面を南に下りながら樹液の出ているクヌギやコナラを見つけることが出来れば、カブトムシを鷲掴みにする夢も、そう遠い日のことではないでしょう。
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
(7)本当の地形図でイメージを膨らませよう

これで、地形図の読み方の基本の基本は終わりです。どうですか?それほど難しくはなかったのではないでしょうか?あとは実際の地形図を見ながらイメージを膨らます練習を続けるだけです。文末に「国土地理院」の地形図閲覧ができるサイトへのリンクを用意していますから、自分だけの秘密の採集場所を求めて、トライしてみて下さいね。
なお、下の地形図は、いわゆる「谷津田」と呼ばれる場所です。やはり実際の地形図は難解で敷居が高く感じられますか?マウスポインタを置くと
●『水田の広がる平坦な低地』を水色
●『急な斜面林』をクリーム色
●『斜面を登りきったところにある平坦な台地(丘陵地)』を薄緑色
に塗り分けてみました。
ほら、意外に簡単でしょう。薄緑に塗られた平坦な広葉樹林に行きたくて、ウズウズ・ワクワク、してきたのではないでしょうか?(笑)


地形図は「国土地理院発行2万5千分の1地形図」
オンマウスで表示の地形図は筆者が塗り分けを行ったものです

sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)
sagasou02.files/y_c_l_t.gif (877 バイト) sagasou02.files/y_c_r_t.gif (878 バイト)
関連リンク

国土地理院のHP(http://www.gsi.go.jp/

 ●地形図の閲覧「ウォッちず」(http://watchizu.gsi.go.jp/
 ●地図についての色々な情報(http://www.gsi.go.jp/KIDS/index.html
詳しい空中写真が見られるHP
 ●いくとこガイド(http://www.ikutoko.com/
sagasou02.files/y_c_l_b.gif (878 バイト) sagasou02.files/y_c_r_b.gif (879 バイト)