2005/5/31(火) 雨のち晴れ |
||||
午前中の雨が嘘のように晴れ上がり、午後は気温も湿度も上がってきた。ゲンジボタルが飛び交うのには最適の日であろう。。。となるとどうしても気掛かりなのは2月20日のポイント0506だ。 あの素晴らしい里山を前にホタルの存在を確信した日が昨日の事のように思い出される。ぜひとも確かめに行きたい。。。千葉でゲンジボタルが飛び交うのは、5月の終わりから6月上旬の約2週間だ。このわずかな時期の午後8時前後にそこを訪れた者だけが、秘密に触れることが出来る。あの場所を考える限り、そんな酔狂な人間は多くはないだろう。いやたぶん誰もいない。あの話し好きの地主のおばちゃんだって知らないはずだ。 。。。とすると、、、誰も知らないその神聖な場所に最初に踏み入るのは、この俺なのかも知れない。。。くぅ〜!!!男はそういうのに弱い!(^^ゞ そう考えた途端に抑制が効かなくなり、仕事は全て明日に持ち越し!すぐさま帰り支度に取りかかった。。。 (大丈夫かなぁ?) まぁ、何とかなるだろう! (^_^;) |
||||
************************************************************** |
||||
|
||||
車を停めて身支度を整えると、暗闇の中を歩き始めた。谷津田までの15分。懐中電灯がなければ1m先さえ見えない細い山道を歩きながら、気持ちばかりが急いている。ふと地主のおばちゃんとの会話が思い出される。水田には除草剤を撒き、8月には農薬の空中散布さえあるという。しかしゲンジの幼虫は滾々(こんこん)と湧く根垂水(ねだれ)の流れの中にいる。例え農薬が散布されても、止水とは異なりその影響は限定的なものになるはずだ。何よりあれだけの数のカワニナが生息しているではないか。。。自問自答を繰り返し、黙々と足を進め、額にうっすらと汗が滲み始めたころ。。。気が付けばカエル声がすぐそこまで迫り、ようやく谷津へ下りる坂道に差し掛かった。 そして坂を中ほどまで下ったときのことだ、 |
||||
ふっ と一条の光が舞った。。。そこかしこで緑がかった青白いい光が すすっ と風に乗る。。。それはごく自然に、何のてらいもない当たり前の光景として目の前で繰り広げられている。 何も特別なことではない。人が一個の生き物として自然との係わり方を見失いさえしなければ、こうしてボクらは生きてゆける。。。そう教えてくれるかのように。。。 |
||||
|
||||
その時、コロコロと云う聞き慣れないカエルの声がすぐ側で鳴り響いた。張りのある大音声。あまりに近すぎでその所在がつかめなかった。下を向けば水面に跳ね返された声が足元から聞こえるようだ。顔を上げれば目の前の潅木の中から聞こえるようにさえ思える。ただ何かが、気持ちの何処かに引っかかっていた。そのまま捨て置けない何かがそこには感じられた。 探すこと10分近く、その瞬間は案外簡単に訪れた。 |
||||
そう、子供の頃から憧れ続けたモリアオガエルとの邂逅だ。 | 未だかつて自然の中で見たことのない美しい黄緑色をしている。 | |||
それに想像していたよりもずっと大きい。 | 発達した吸盤と水かき、そして背中にはシミのような斑点が。 | |||
およそカエルが留まるとは思えないようなウツギの樹の枝に大きなカエルが佇んでいるのがわかるだろうか。 | ||||
全く人の手による保護を受けていない野生のゲンジボタル、そして多くの地域で天然記念物にさえ指定されているモリアオガエル。この二つは俺にとって子供の頃からの憧れだった。 「何を大袈裟な。たかがホタルに。。。」と笑う人もいるかも知れない。でも俺はそんな環境に育ってきた。 図らずもその両者を一晩のうちに目撃することができたのは、運が良いとか時期がどうとかではなく、ただここに、昔ながらの谷津田が残されていたためなのだと思う。 おそらくこの谷津田を維持管理してゆくのは並大抵のことではないのだろう。都会から来た余所者が、無責任で薄っぺらな自然保護を口にすることさえ憚れる現実がそこにはあるはずだ。 俺にできるのはどんなことなのか? 初めて本気で少しだけ、、、そんなことさえ考えさせられる、夢のような夜だった。
|
||||