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≪幼虫を掘り上げた時、まだ蛹室を作っていなかった場合≫ |
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1.このように幼虫のお尻にツヤツヤと張りがあり、全体が白っぽい段階ではまだエサを食べて活発に活動している。無理に小さな容器に移しても暴れて良い結果が得られない。
この写真のような幼虫は、もう少し今までの条件のままで飼育を続けよう。 |
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2.この段階が、小さな容器に移す適期だ。全体的に黄色味が増して、お尻はツヤを失ってシワが生じている。
左の写真で、右側に半分だけ写っているのは同じ幼虫。体色の違いがわかるだろうか。 |
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3.適期の幼虫をこのような容器に移す。直径8〜10cm、高さ20cm程度が望ましい。底5cmを園芸用の黒土などにし(特に固める必要はない)、その上にそれまで飼育していた用土を入れる。もうエサはほとんど食べないので、エサについては特に心配する必要はない。
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4.用土は容器の上端から3〜5cmほどまで入れて、5mm程度の穴を開けたフタを必ずする。フタをしないと動き回った幼虫が容器外に落下して事故を起こすので注意。真っ暗な場所に保管した後は多少暴れても無視していると、やがて諦めて蛹室を作り始めるはずだ。 |
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観察用の小さな容器に移した後は、容器ごとダンボール箱などに入れて真っ暗に保つようにする。容器が小さい分温度変化が大きくなるので、直射日光を避けて室内の静かで涼しい場所に置こう。また、振動には敏感なのでその点も注意が必要だ。
あとは1〜2週間で幼虫が蛹室を作るのを待つ。
【ここから先は、撮影した画像がないので文章による説明だけになり申し訳ありません。05年6月中旬には、画像つきの説明ができると思いますのでご容赦下さい】
容器内で蛹室を作ったかどうかの見極めは、
A. |
蛹室を壁面に接して作ることも多い。この場合何も手を加えなくとも蛹室内が覗ける。但し、覗き窓部分が非常に小さく、十分な観察が出来ないことが大半だろう。 |
B. |
蛹室を壁面近くに作った場合は、蛹室内を覗くことは出来ないが、壁面に接する部分の用土の色が周囲と明らかに違ってこげ茶色に変色し、ドロのように粒子が細かくなっているのでそれとわかる。 |
C. |
蛹室を壁面から離れた場所に作っていると、中の様子がわからない。この場合は「蛹化シーン」は諦めて、蛹になった頃に外から観察できるように蛹室を加工して、「羽化シーン」だけを観察するのが無難。
(蛹化はわずか30分程度で完了してしまうので、いずれにしても蛹化シーンを観察できる可能性は低い。ここは安全策を取って、幼虫が確実に蛹室をつくり、中で蛹になった頃に蛹室の加工を行おう) |
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蛹になったか否かの確認方法 |
容器をほんの少しずつ、ゆっくりと傾けて行くと、ある瞬間に「コロッ」という感触が手に伝わってくる。これは蛹室内で蛹が転がるためで、柔らかい幼虫や前蛹の時には起こらない感触だ。
観察用の容器へ幼虫を移してから3週間ほどたったら、試してみよう。ただし、あまり繰り返し行うのは避けること。 |
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「Aで蛹室内がよく見えない時」および「Bの場合」さらに「Cで蛹になったことが確認できた場合」には慎重に蛹室を取り壊して外から見えるように加工してみよう。
(1) |
まずフタを外し、ゆっくりと容器を傾けて横にする。 |
(2) |
用土を少しずつこすり落しすように取り除いてゆく。 |
(3) |
蛹室はそれまでとは異なって硬く固まっているので、すぐにわかる。楊枝などで慎重に蛹室の上部を欠い指先が入るくらいの穴を開ける。 |
(4) |
指先で穴を優しく広げ、中の幼虫もしくは前蛹や蛹を確認する。(もし、まだ蛹化したばかりのクリーム色の蛹が見つかった場合は、4〜5日そのまま放置し、全体が赤茶色(このページの最下欄を参照)になるまで移動は避けること) |
(5) |
穴の脇に指先をそろえて入れ、容器を更に傾けて中の幼虫を手のひら(そろえた指先)の上にすべり落すように移す。この時、幼虫をつまんで引きずり出すような乱暴はけっしてしないこと。(幼虫はもちろん、蛹も激しく体をクネらせる。驚いて取り落としたりしないように注意する) |
(6) |
取り出した幼虫・前蛹・蛹は、柔らかい土の上などにそっと下ろし、光が入らないように小さなバケツなどをかぶせておく。 |
(7) |
幼虫を取り出した後の蛹室の壁面を少しずつ取り壊し、外から見やすいように加工する。これから先の手順は、「人工蛹室の作り方の10〜14」と全く同じ。観察しやすいように綺麗に仕上げよう。 |
(8) |
蛹室が加工できたら、取り出したときと同じように慎重に幼虫を戻す。必ず容器を横にして少しずつ傾けながらすべり込ませるように蛹室に入れること。 |
(9) |
これで作業は完了。後は幼虫等を刺激しないように、ダンボール箱などに入れて、暗くて静かで振動の少ない場所に置き、時折観察してみよう。
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幼虫・前蛹・蛹ともに光や振動の刺激には敏感で、激しく体をクネらせる。あまり神経を使いすぎる必要はないが、観察はホドホドに。
蛹になってからは比較的安定しているようで、観察のために光が当たると一時的に激しく体をクネらせるが、しばらくすると落ち着く。
経験上は、蛹になってからずっと覆いを取って明るい状態にしておいても、問題なく羽化することが多いようだ。
もちろん、容器を揺すったりという乱暴は絶対にしてはならない。
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≪幼虫を掘り上げた時、既に蛹室を作っていた場合≫ |
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1.4月の下旬以降は、飼育用土を掘る場合には十分な注意を払う必要がある。スコップで掘り下げたり、ケースを逆さまにするなどしないようにしよう。
表面から少しずつ土をさらって行くようにすると、ポッカリと穴が開き、中で幼虫がクネっていることがある。これが蛹室だ。
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2.蛹室の天井を広げて内部の様子を眺めてみる。この状態が前蛹(ぜんよう)と呼ばれる、幼虫から蛹への過渡期だ。(下の写真3.のように、体が伸びてずん胴になり、手が縮んでいる)この状態になるともう動き回ることはできず、蛹室内でジッとしながら体の中での大変化を待っている。 |
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幼虫を掘り返したとき、上記のように既に蛹室を作っていた場合、一度壊した蛹室は再度作ることが出来ないと云われていることから、人工蛹室に移す必要がある。
但し、上記の写真程度に壊しただけで、蛹室内に大量の土が入り込んでしまったのでなければ、このまま(天井の空いたまま)羽化まで持ち込むことも可能。
前蛹を取り出して人工蛹室に移す場合には、少しでも刺激を少なくするように細心の注意を払う。
上述の、幼虫の作った蛹室の一部を加工して蛹室内が見えるようにする際の注意事項(1)〜(9)を参照の上、同等の丁寧さをもって移動する。
特に、今回の場合は飼育容器が大型のものであった場合容器を傾けることが出来ない。この場合、蛹室の側面を壊しながら堀り進み、そろえた手の指先を前蛹の下にもぐりこませてすくい上げるように取り出すこと。
けっして天井の穴から指を入れてつまみ上げるような乱暴を働いてはならない。 |
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3.人工蛹室に移した前蛹。体が縮んでずん胴になり、Cの字型になれなくなっている。また、この写真ではわからないが、頭の近くにある6本の足は萎縮して、動かすことが出来なくなっている。
なお、多少狭く感じるかも知れないが、人工蛹室の広さはこの写真が理想的なサイズだ。 |
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4.まだ体を丸めているが、ほぼ前蛹と呼んで差し支えない幼虫。
この人工蛹室は、少々広すぎる。蛹室が広いと蛹になった際に倒れこんで、ツノで体を支えるような体勢になってしまい、ツノ曲がりの原因となる。左の写真を参考に、もっと狭く調節しなければならない。 |
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人工蛹室に移した4頭。急ごしらえの雑な人工蛹室であるが、蛹室内の広さにだけ注意すれば、細かな点は無視しても大丈夫だ。(一番左は広すぎるが、処々の理由からツノのないメスだと判断してこのまま蛹化させることにした) |
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このような前蛹段階で人工蛹室に移した場合は、概ね1週間以内には蛹化する。
蛹化は短時間(30〜40分)で完了してしまうため、観察には運も必要となるだろう。 |
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≪蛹(さなぎ)の観察例(上記人工蛹室への投入後2週間後≫ |
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1.オスの蛹。こんな風に立派なツノを突き出してくれると何とも嬉しくなる。蛹の色は当初クリーム色だが、4〜5日するとこんな風に赤茶色に変わってくる。この色になれば、手で触っても大丈夫。 |
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2.広すぎると述べていた人工蛹室内の蛹。全体斜めに倒れこんでいる。メスだから事故が起こらないが、オスの場合にはツノを痛めてしまう原因になりかねない。 |
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3.上のオスの蛹を上部から眺めたもの。蛹室の広さがわかるだろうか。 |
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4.こちらは予想に反して小型のオスだった例。オスにしては蛹室の幅が広すぎた。仰向けだから事故にならないが、うつぶせに倒れたら、きっとツノをいためていただろう。。。 |
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ズラリと並べてみた。右の3頭がオスで、左3頭はメス。メスは倒れこんでも突起物がないので、多少幅の広い人工蛹室でも安心できるが、オスの場合には十分注意が必要だ。 |
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以上が、カブトムシの蛹の観察方法とその注意点だ。
あまりにコメントが多くて、試す気が失せたのではないだろうか(笑) |
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しかし、言葉にすると非常に長々しくなるが実際には非常にシンプルな作業で、けっして困難なものではない。 |
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世の中の大半の人は、カブトムシのさなぎを見ることもなく(さなぎを見たい、とも思わず?)、つまらぬ一生を終えてゆくだろう(笑)
もし、その稀有な体験を吾が子と共有したいと望むのならば、事前の準備をしっかりして、挑戦してみる価値は十分あるはずだ。 |
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おそらく、あなたが想像している以上に大きな感動がそこにはあるはずだと思う。
そう、カブトムシはいつの世も、子供たちを魅きつけて止まない不思議な魅力を持った生き物なのだ。 |
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